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刹那的発泡詩 < 17 > [ひまつぶ詩]


「薄情者」


対岸で火事があったことは
時々想い出す程度
火傷をしたはずの喉元は
もうとっくに癒えている
僕達は
生まれついての薄情者

涙はよく流すのだが
流れ着く場所を見届けたことがない
言葉は柔らかいのだが
不幸をひとつ包んだだけで破けてしまう
僕達は
生まれついての薄情者

彼等のことはもう語るな
彼等のことはもう書くな
彼等のことはもう唄うな
薄情者としての自覚がないのなら

見てくれだけが立派な
善意の切れっぱしを
これ見よがしに手渡しただけで
満足してはいけない
僕達は
生まれついての薄情者なのだから




**********




「すくらっぷ」


浜の方で
人だかりがしていた
私の中の
安っぽい野次馬根性は
職人風の男の耳に
世俗的な挨拶のごとき
質問を投げ込んだ

おぅ
なんでも
ノオトブック岬の方で
常套句の惨殺死体が
見つかったんだとよ

髪を逆立て
私は逃げるように
その場から立ち去った



どんなに優しくしたつもりでも
どんなに親切にしたつもりでも
たった一本の毒針で
知らず知らずに他人の
心を突き刺していることがある

彼は三本の毒針を持っていた
その一本で友人の心を刺し
もう一本で恋人の心を毒し
最後の一本で自分の胸を貫いたが
死にきれなかった

毒針をなくした彼は
従順な家畜になった



プ ・ ク ・ リ
一滴の涙を搾り出すのに
まる一日を費やした

青空を
口いっぱいに頬張った
窓枠のかたわらで
僕は一億のスズメバチを
顔じゅうに貼り付けたまま
時計の針をかじっていた
一日じゅう!

その快感は
熟れきったトマトの皮を
食い破る瞬間の
背筋を染める寒さに
似ていた



忘れかけていた
幼い頃の膝小僧の痛み
私はずいぶん泣き虫であり
それ以上に嘘つきだった

DEKU
DEKU
DEKU

暗い屋根裏部屋で
片っ方の足を
ネズミにかじられたまま
永遠の薄笑いを
カビのように
口元に繁殖させている
木偶人形

似ている



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