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刹那的発泡詩 < 9 > [ひまつぶ詩]


「五月 A」


長袖のシャツを
まくり上げながら
眉を開いて
見上げる若葉を

すり抜けた
幼い夏が
さらさらと
降り注ぐ五月





**********





「五月 B」


光と風の音楽隊の
ゆるやかな旋律が
コンクリートの迷路に
色の音符を落としていく


緑はさざめき
花はときめき
道はほくそえみ
人の睫毛はほほえむ





**********





「ガシャポン」


西瓜のカクテルを
飲み干したら
肋骨を奏でながら
伝い落ちた夏が
ポロリと
ヘソの穴から
転がり落ちた

背中を吹き抜けたのは
微発泡の風





**********





「薄荷」


カタカナのハッカは
忘れかけた想い出
漢字の薄荷は
忘れられない痛み

ときどき発火する過去の
やるせない焦げ痕が
スースーするけれど
大人のふりして苦笑い



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刹那的発泡詩 < 8 > [ひまつぶ詩]


「なぜ詩なのか」


面倒臭くて つい
手軽な言葉を投擲してしまった
口淋しくて つい
甘ったるい言葉を咀嚼してしまった

<優しさ>の優しくないアクや
<悲しさ>の悲しくないオリが
胸のT字路で行き詰まり
嫌なゲップが出てしょうがないから

僕はそれを
指から逃がそうとした
詩のような檻にそれを
閉じ込めようとした
ただそれだけのこと

もし付き合ってくれたらありがとう





**********





「いつ詩なのか」


上りつめている時は
脚韻どころか
気の利いたお世辞すら満足に言えない

下りはじめる瞬間は
恐怖のあまり
カビの生えた常套句にしがみついている

下りおえてしまえば
安堵しすぎて
暗喩よりも甘いものが食べたくなる

やんちゃな感情の起伏を
転がり落ちる
その速度だけが僕に詩を書かせる




**********




「どこが詩なのか」


生き方が
詩ではない
存在そのものが
詩であろうはずもない
凡人は

平坦で陳腐な日常から
今日も言葉の石を
掘り起こしては
それを丹念に磨く

その石が
詩の原石であることを
願いながら磨く

その石が
誰かの夜空で瞬くことを
祈りながら磨く

その石を並べただけで
挨拶にはなるし
店のメニューにはなるし
日記にはなるのだけど

それでも言葉使いの端くれは
言葉の石を
磨かずにはいられない

それはおそらく
磨くことが
磨こうとする意志が
詩のようなものであるからだろう




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