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刹那的発泡詩 < 18 > [ひまつぶ詩]


「センス」


その人の

憧れ方が
悔しがり方が
思いつき方が

その人の

諦め方が
知りたがり方が
傷つき方が

その人の

話し方が
淋しがり方が
食いつき方が

その人の

愛し方が
懐かしがり方が
嘘のつき方が

その人の

包装紙となり
血流となり
センスとなり

その人の

人生を
色とりどりに
着色していく




**********




「負」


負けたくない
崩れ落ちたくない
ひれ伏したくない
終わりたくないのに

僕の口と目と
耳と指先と末梢神経は
負の頓服薬を求めてしまうから

自分の底に溜まった
「不」や「無」や「嫌」の
苦くて酸っぱい澱はやがて

知ろうとするアンテナ
錆びつかせ
考えようとする水路を
濁らせ
語ろうとする葉っぱを
枯らせてしまうだろう

負けたくない
傷を舐め合いたくない
卑屈に笑いたくない
終わりたくない

勝たなくていいから
負けたくない




**********




「勘違い」


言葉で君を落とせると思った
言葉で人を殺せると思った
勘違いを敷き詰めた部屋で
僕は裸足の王様だった

「臭い」と鼻で笑われた
「臭い」と眉で疎まれた
「臭」は自分が大きいと書くのだと
気がついた時は遅かった

独りよがりというガスで
限りなく肥大し続けた僕は
ドアも窓も語らいもない
勘違いを敷き詰めた部屋
そのものになった




**********




「つきあい」


嗅覚をつまんで
味覚を音痴にして
視覚を半分ふさいで
聴覚を空に飛ばせて
触覚を粟立たせて

さあ
仲良くしよっ!



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刹那的発泡詩 < 17 > [ひまつぶ詩]


「薄情者」


対岸で火事があったことは
時々想い出す程度
火傷をしたはずの喉元は
もうとっくに癒えている
僕達は
生まれついての薄情者

涙はよく流すのだが
流れ着く場所を見届けたことがない
言葉は柔らかいのだが
不幸をひとつ包んだだけで破けてしまう
僕達は
生まれついての薄情者

彼等のことはもう語るな
彼等のことはもう書くな
彼等のことはもう唄うな
薄情者としての自覚がないのなら

見てくれだけが立派な
善意の切れっぱしを
これ見よがしに手渡しただけで
満足してはいけない
僕達は
生まれついての薄情者なのだから




**********




「すくらっぷ」


浜の方で
人だかりがしていた
私の中の
安っぽい野次馬根性は
職人風の男の耳に
世俗的な挨拶のごとき
質問を投げ込んだ

おぅ
なんでも
ノオトブック岬の方で
常套句の惨殺死体が
見つかったんだとよ

髪を逆立て
私は逃げるように
その場から立ち去った



どんなに優しくしたつもりでも
どんなに親切にしたつもりでも
たった一本の毒針で
知らず知らずに他人の
心を突き刺していることがある

彼は三本の毒針を持っていた
その一本で友人の心を刺し
もう一本で恋人の心を毒し
最後の一本で自分の胸を貫いたが
死にきれなかった

毒針をなくした彼は
従順な家畜になった



プ ・ ク ・ リ
一滴の涙を搾り出すのに
まる一日を費やした

青空を
口いっぱいに頬張った
窓枠のかたわらで
僕は一億のスズメバチ
顔じゅうに貼り付けたまま
時計の針をかじっていた
一日じゅう!

その快感は
熟れきったトマトの皮を
食い破る瞬間の
背筋を染める寒さに
似ていた



忘れかけていた
幼い頃の膝小僧の痛み
私はずいぶん泣き虫であり
それ以上に嘘つきだった

DEKU
DEKU
DEKU

暗い屋根裏部屋で
片っ方の足を
ネズミにかじられたまま
永遠の薄笑いを
カビのように
口元に繁殖させている
木偶人形

似ている



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刹那的発泡詩 < 16 > [ひまつぶ詩]


「彼岸」


薄曇りの中日

線香の煙に
少し咽ながら
不浄の掌を
こっそりと合わせた

温んだ寂しさと
刺の抜けた後悔を
浮かべた空は
のっそりと凪いで

今年も
向こう岸の事を
ぼんやりと想った




**********




「妄想せよ!」


言葉は他人の哀しみを
拭い去ることは出来ない
言葉は他人の喜びに
追いつくことはできない

他人の役に立とうと
他人に優しくしようと
力んで発した言葉ほど
役に立たないものだけど

役に立たない言葉を使って
表現を試みることは
自分の哀しみや喜びの
滋養になり道標になる

妄想せよ!
愛しさを込めて




**********




「ZOO」


会社は生き物だ
家庭は生き物だ
社会は動物園だ
国は姿の見えない園長だ

紙幣を丹念に数える音と
芳ばしい欲の匂いしかしない
動物園の
檻の中の
君と僕は

哺乳類の
抜けかかった下毛か
爬虫類
左後ろ足の爪の垢だよ




**********




「お世辞」


お世辞を言うのは
下手ではない
お世辞を言われるのが
下手なのだ

流れ落ちるほど
ユルユルに頬を緩ませて
頭の上に八分音符を
乗せてりゃいいものを

野暮な指でお世辞の裾を
めくってみたくなる
真っ赤な嘘の裏地を
嗤ってやりたくなる




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刹那的発泡詩 < 15 > [ひまつぶ詩]


「みずやり」


やさしさは
むつかしい
そそぎすぎると
やさしくなく
なってしまう

たまには
ほっとくのも
いいのかな




**********




「TAO」


TAOはひとつ
どんなに枝分かれしても
たとえ選ばなかったとしても
いづれは交わる

TAOはひとつ
どんな名前で呼ばれようと
たとえ記号化されていようと
どれも正しくない

TAOはひとつ
どんなに平坦で退屈でも
たとえ険しさに泣きじゃくっても
誰も後戻りできない

TAOはひとつ
歩くために道はあるのか
道のために歩いているのか
思い至る岸辺はない




**********




「半永久機関」


放っておけば
そのうち止まってしまう
半永久機関を
あてがわれて

放ってもおけず
ただじっと見守るだけの
木偶の坊は
あきもせず

詰られようが
嗤われようが
ひたすら
永い黄昏を生き続ける

背中に植え込まれた宿命を
済し崩しにするために




**********




「詩っ!」


どうして見えないのか!

早咲きの桜の下に
噴水の飛沫の先に

賑やかに降り積もっているのは
詩ではないのか?

どうして拾わないのか!

膨らみ続ける蕾の上で
ベンチで踊る光の端で

喧しいほど折り重なっているのは
詩ではないのか?

さっさと持って帰って
キーボードの上にそっと乗せよう

決して書いてはいけない
読むなんて以ての外だ

静かに
静かに
指先で詩を押し込んだら

ほら
液晶画面がすっかり春だ!




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刹那的発泡詩 < 14 > [ひまつぶ詩]


「レリーフマップ」


均して
まっ平らにするよりも
凸凹のまま
自分を保とう

喜怒哀楽の
起伏の上に
邪な雨雲を
呼ばない限り

太陽は健やかに昇り
安らかに沈むはずだから




**********




「道」


最初の丁字路を
「いいえ」に曲がって

次の十字路
「普通」に直進して

次の五叉路を
「どちらかというと好き」に折れて

次の六又で
「165~170」を選んだ先の

ヘアピンカーブを曲がり損ねて
獣道を転がり落ちたら

そこは
見慣れた出発点だった





**********




「くしゃみ」


せせらぐ窓辺
はなやぐカーテン
まどろむ会話
ほころぶ眼差し

シャーベットカラーの光が
鼻をくすぐって
くしゃみが出る度に
季節がめくれ上がる




**********




「うそからでたまこと」


嘘+嘘=平凡
嘘×嘘=甘美
嘘ー嘘=退屈
嘘÷嘘=人生

実+実=陳腐
実×実=狂気
実-実=孤独
実÷実=人生

嘘+実=憂鬱
嘘×実=恋愛
嘘-実=野暮
嘘÷実=人生

嘘から飛び出て行った実は
こっそり嘘に帰ってくる




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