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刹那的発泡詩 < 23 > [ひまつぶ詩]


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「6月16日 土曜日 小雨」


アマリリスの
真紅のラッパが
水の午後を
緩やかに吹き鳴らす

ブルーベリーの
未だ青い八分音符が
水の庭先で
密やかに雨音を歌う

長袖シャツの
襟元を掠めていく
水の吐息に
そよいでしまった孤独を

誤魔化すように
ホットココアをすすり
水の記憶を
温めようとするのだが




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「チカラ」


受け止めるチカラ

受け止めたものを
持ち続けるチカラ
持ち続けたものを
取り込むチカラ
取り込めなかったものを
潔く捨てるチカラ

生み出すチカラ

生み出したものを
疑い続けるチカラ
疑い続けたものを
逃さないチカラ
逃してしまったものを
決して許さないチカラ

そんなチカラしか
欲しくない




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「バタ足」


水飛沫だけは一人前の
まるで推進力がないバタ足で
取り付く島を探し回る毎日

学校の水泳授業を
見学してばかりいたツケが
今頃回ってくるとは思わなかった

後輩の回遊魚達には
軽々と先を越されて
先輩の深海魚連には
さりげなく足を掴まれて
息継ぎのつもりで立ち寄った
小島の偽人魚に溺れる始末
この泳ぎ下手はもはや
致命的なのかもしれない

ドルフィンキック

ゆるぎない上半身に
人好きのする笑顔を固定して
慇懃無礼に揃えた両足を
これ見よがしにくねらせて
しょっぱ過ぎる波の下を
悠々と潜っていくような
そんなドルフィンキックに
恋焦がれた時もあったのだが

バタ足

思うように進めないけれど
ちっとも素敵じゃないけれど
今はバタ足が嫌いではない

なんて

嘘だ

それは諦めだ
それは負け惜しみだ
それは慰めだ
それは自分らしさの
情けないアピールでしかない

毎日が大海原なのだから
不様な水飛沫を笑われようと
不器用な息継ぎを疎まれようと
ジタバタと浮かび続けるしかない

このバタ足が
たとえ幸せでも
たとえ不幸せでも




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刹那的発泡詩 < 22 > [ひまつぶ詩]


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「6月3日 日曜日 曇り」


ひんやりと
夏が背を向けた朝を
雀たちが忙しく啄んでいる

うっすらと
雨の匂いを含んだ風を
長袖シャツが仕方なく受け止める

無くしたものなど
何も無いくせに
掴めない虚しさが
胸の何処かを逆撫でして

ヒリヒリと
浅い呼吸を繰り返しても
浮かぶのは背中ばかり

梅雨は近い



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「土星人の君は」


カッシーニの間隙に
指を突っ込んで
ひらひらさせる

エンケの間隙に
好きなものを
順番通り並べる

キーラーの空隙に
細く切り裂いた紙を
ぎっちり詰め込む

タイタン生まれの君は
相変わらず
ケルビン・ヘルムホルツ不安定だ



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「ルフラン」


明けない夜はないが
晴れない朝はある
止まない雨はないが
笑えない昼はある
暮れない一日はないが
つれない人はいる

そして夜
幾つもの夜を耐えて
人は強くなると言うが
ちびちびと毒を喰らって
麻痺していくだけ

そして朝
幾つもの痛みを越えて
朝焼けの中で固めた決意は
ルーティンの波に揉まれて
夕焼けの中でもろもろ崩れる

そして繰り返す
何度でも繰り返す

明けない夜を漕いで
晴れない朝に上陸して
止まない雨を飲んで
笑えない昼に泥酔して
暮れない一日を蹴って
つれない人に辿り着く

そして繰り返す
何度でも繰り返す

朝が咲いて
昼が実をつけて
夕暮れが熟れ落ちたら
二度と明けないような
そんな気がする夜が始まる




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刹那的発泡詩 < 21 > [ひまつぶ詩]


「異常気象」


背中が
冷たくて仕方がないくせに

あなたは
お洒落に薫風をまとって
木洩れ日で唇をいろどって
初夏を気取ってしまうけれど

少し浮かれすぎたり
空気を読み違えたりして
ひとたび上昇気流が
止まらなくなればたちまち
心の中には積乱雲がはびこる

そうなってしまったら
あなたが
どんなに言葉の礫を投げつけようが
どんなに幼い正義を渦巻かせようが
もう誰も振り向いてはくれない

不安だったら
曇っていたってかまわない
哀しければ
気にせずシトシト泣けばいい

ありのままに
そっと季節に寄り添っていれば
冷たい背中に温もりが宿ることもある

あなただけが
異常気象じゃないのだから




**********




「火傷」


アチッ

二日酔いの朝
朝靄に包まれた意識の森で
突然発火するのは
昨夜の記憶の欠片

アチッ

酔いにまかせて
自分のてのひらとあしうらに
醜く刻まれた皺を
語ってしまった後悔

自分が背負っているものを
地べたに下ろして
店開きしてしまうような
愚か者にはなりたくないけれど

たまにリュックの結び目を
ちょっとだけ緩めて
中身を匂わせてやりたくなる

意気地なし

学もなく芸もない
それなのに一丁前に酔っぱらって
芥のような言葉を散らかしては
あとで想い出して

アチッ

火傷
痕が残らない火傷
決して慣れることはないが
性懲りもない

自分

嫌っても仕方がないから
思い切り顔をそむけながら
嫌々抱きしめてやるしかない




**********




「無題でいいよね?」


ゴミ

書けばたちまち
言葉はゴミになる

クズ

書けばたちまち
言葉はクズになる

死ね

書けばたちまち
言葉は即死する

嫌い

書けばたちまち
言葉はオマエが大っ嫌いになる

言葉使いの端くれなら
そんな記号なんて使わずに
憎しみを書いてみろ




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刹那的発泡詩 < 20 > [ひまつぶ詩]


「生かされて」


咲いては散り
繁っては落ちる
木は生きている

生まれては食み
生んでは果てる
虫は生きている

だから
ぼくらはみんな生きている
なんて
思っちゃあいけない

ぼくらはみんな生きている
ようで
生きちゃあいない

自然の環から
はみ出したぼくらは
生かされなければ
生きられない




**********




「みちる」


とまる
とる
とまる
とう
歳を
罪を

ふりかえる
ふえる
ふりかえる
ふりる
枷を
翻して

あゆむ
あむ
あゆむ
あう
詩を
人に

みちる
みる
みちる
ちる
夢を
いつかは




**********




「いつかの昨日」


何気ない言葉で
ヒトを見失ったのは
いつかの昨日

子供じみた素振りで
コトを泡立てたのは
いつかの昨日

その度に何度も
いつかの今日の
真ん中に放り出されて

その度に何度も
時間と場所の狭間を
探し回ったはずなのに

未だに見つからない
いつかの明日




**********




「窓を開けて」


楽しさを探しに
ネットの海の底や
量販店の森の中を
さまようのも良いが
案外自分のランゲルハンス島に
打ち上げられていたりもする

哀しさを捨てに
アルコールの湿地帯や
カラオケの滝壺を
さすらうのも良いが
しっかりと自分のうずまき管に
しがみついたままだからタチが悪い

窓を開けよう
風を入れよう

楽しさも哀しさも
風にたなびかせて
細胞の津々浦々まで
風にさらして

少し透き通ったところから
何かを始めよう
何もなくなったところから
何かを始めよう




**********




「馬鹿でも詩は書ける」


知識の羅列ゲームなら
すぐに負けてやるよ
物識り自慢大会なら
隣のテーブルでやっとくれ

難しい言葉に首輪をつけて
乙に澄ましているよりも
飼い慣らしたオバカな言葉と
賑やかに酒盛りをしていたい




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刹那的発泡詩 < 19 > [ひまつぶ詩]


「誕生日」


いつからだろう
積み上げていく喜びが
積み上がってしまう寂しさに
変わったのは

経験や実績を
几帳面に積み上げて悠々と
辺りを俯瞰出来る大人なんて
いるのだろうか

今日の自分は
積み上がってしまったガラクタの上で
ひたすら大人のお面を磨いている
高所恐怖症の猿だ




**********




「他愛ない話」


なぜ目はふたつついているの?
>本物と偽物を見分けるために

なぜ耳はふたつついているの?
>本当と嘘を聞き分けるために

なぜ鼻の穴はふたつなの?
>勝者と敗者を嗅ぎ分けるために

それなのに
なぜ口はひとつしかないの?
>本当や嘘やいろいろなものを
>一緒くたにしして吐き出すために

他愛ない質問を繰り返しているうちに
少女はほどなく眠りこんでしまった

なぜ人は夢を見るのだろう?
>自分の罪と毒を少しだけ薄めるために

僕は今日も眠れない




**********




「花見」


陽光に誘われて
南風に祝福されて
人々はゆらゆらと
花の下に集う

うららを微笑んで
うららを呼吸して
うららを口ずさんで
うららに酔いしれて

季節の花と人の花が
密やかに呼び合うと
春が旋律となって
緩やかに巡り始める




**********




「詩書き≠詩人」


相応しい言葉などない
当て嵌まる言葉などない

あるのは
事象に追いつけない言葉だ
観衆におもねる言葉だ

詩の言葉は
誰も教えてくれないし
教科書も参考書もない

詩の言葉を
取り仕切るちっちゃな神様は
たくさんいるが信じちゃいない

そんなことだから
自由という名のバチがあたり
未だに詩人とは名乗れない



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刹那的発泡詩 < 18 > [ひまつぶ詩]


「センス」


その人の

憧れ方が
悔しがり方が
思いつき方が

その人の

諦め方が
知りたがり方が
傷つき方が

その人の

話し方が
淋しがり方が
食いつき方が

その人の

愛し方が
懐かしがり方が
嘘のつき方が

その人の

包装紙となり
血流となり
センスとなり

その人の

人生を
色とりどりに
着色していく




**********




「負」


負けたくない
崩れ落ちたくない
ひれ伏したくない
終わりたくないのに

僕の口と目と
耳と指先と末梢神経は
負の頓服薬を求めてしまうから

自分の底に溜まった
「不」や「無」や「嫌」の
苦くて酸っぱい澱はやがて

知ろうとするアンテナを
錆びつかせ
考えようとする水路を
濁らせ
語ろうとする葉っぱを
枯らせてしまうだろう

負けたくない
傷を舐め合いたくない
卑屈に笑いたくない
終わりたくない

勝たなくていいから
負けたくない




**********




「勘違い」


言葉で君を落とせると思った
言葉で人を殺せると思った
勘違いを敷き詰めた部屋で
僕は裸足の王様だった

「臭い」と鼻で笑われた
「臭い」と眉で疎まれた
「臭」は自分が大きいと書くのだと
気がついた時は遅かった

独りよがりというガスで
限りなく肥大し続けた僕は
ドアも窓も語らいもない
勘違いを敷き詰めた部屋
そのものになった




**********




「つきあい」


嗅覚をつまんで
味覚を音痴にして
視覚を半分ふさいで
聴覚を空に飛ばせて
触覚を粟立たせて

さあ
仲良くしよっ!



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刹那的発泡詩 < 17 > [ひまつぶ詩]


「薄情者」


対岸で火事があったことは
時々想い出す程度
火傷をしたはずの喉元は
もうとっくに癒えている
僕達は
生まれついての薄情者

涙はよく流すのだが
流れ着く場所を見届けたことがない
言葉は柔らかいのだが
不幸をひとつ包んだだけで破けてしまう
僕達は
生まれついての薄情者

彼等のことはもう語るな
彼等のことはもう書くな
彼等のことはもう唄うな
薄情者としての自覚がないのなら

見てくれだけが立派な
善意の切れっぱしを
これ見よがしに手渡しただけで
満足してはいけない
僕達は
生まれついての薄情者なのだから




**********




「すくらっぷ」


浜の方で
人だかりがしていた
私の中の
安っぽい野次馬根性は
職人風の男の耳に
世俗的な挨拶のごとき
質問を投げ込んだ

おぅ
なんでも
ノオトブック岬の方で
常套句の惨殺死体が
見つかったんだとよ

髪を逆立て
私は逃げるように
その場から立ち去った



どんなに優しくしたつもりでも
どんなに親切にしたつもりでも
たった一本の毒針で
知らず知らずに他人の
心を突き刺していることがある

彼は三本の毒針を持っていた
その一本で友人の心を刺し
もう一本で恋人の心を毒し
最後の一本で自分の胸を貫いたが
死にきれなかった

毒針をなくした彼は
従順な家畜になった



プ ・ ク ・ リ
一滴の涙を搾り出すのに
まる一日を費やした

青空を
口いっぱいに頬張った
窓枠のかたわらで
僕は一億のスズメバチを
顔じゅうに貼り付けたまま
時計の針をかじっていた
一日じゅう!

その快感は
熟れきったトマトの皮を
食い破る瞬間の
背筋を染める寒さに
似ていた



忘れかけていた
幼い頃の膝小僧の痛み
私はずいぶん泣き虫であり
それ以上に嘘つきだった

DEKU
DEKU
DEKU

暗い屋根裏部屋で
片っ方の足を
ネズミにかじられたまま
永遠の薄笑いを
カビのように
口元に繁殖させている
木偶人形

似ている



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刹那的発泡詩 < 16 > [ひまつぶ詩]


「彼岸」


薄曇りの中日

線香の煙に
少し咽ながら
不浄の掌を
こっそりと合わせた

温んだ寂しさと
刺の抜けた後悔を
浮かべた空は
のっそりと凪いで

今年も
向こう岸の事を
ぼんやりと想った




**********




「妄想せよ!」


言葉は他人の哀しみを
拭い去ることは出来ない
言葉は他人の喜びに
追いつくことはできない

他人の役に立とうと
他人に優しくしようと
力んで発した言葉ほど
役に立たないものだけど

役に立たない言葉を使って
表現を試みることは
自分の哀しみや喜びの
滋養になり道標になる

妄想せよ!
愛しさを込めて




**********




「ZOO」


会社は生き物だ
家庭は生き物だ
社会は動物園だ
国は姿の見えない園長だ

紙幣を丹念に数える音と
芳ばしい欲の匂いしかしない
動物園の
檻の中の
君と僕は

哺乳類の
抜けかかった下毛か
爬虫類の
左後ろ足の爪の垢だよ




**********




「お世辞」


お世辞を言うのは
下手ではない
お世辞を言われるのが
下手なのだ

流れ落ちるほど
ユルユルに頬を緩ませて
頭の上に八分音符を
乗せてりゃいいものを

野暮な指でお世辞の裾を
めくってみたくなる
真っ赤な嘘の裏地を
嗤ってやりたくなる




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刹那的発泡詩 < 15 > [ひまつぶ詩]


「みずやり」


やさしさは
むつかしい
そそぎすぎると
やさしくなく
なってしまう

たまには
ほっとくのも
いいのかな




**********




「TAO」


TAOはひとつ
どんなに枝分かれしても
たとえ選ばなかったとしても
いづれは交わる

TAOはひとつ
どんな名前で呼ばれようと
たとえ記号化されていようと
どれも正しくない

TAOはひとつ
どんなに平坦で退屈でも
たとえ険しさに泣きじゃくっても
誰も後戻りできない

TAOはひとつ
歩くために道はあるのか
道のために歩いているのか
思い至る岸辺はない




**********




「半永久機関」


放っておけば
そのうち止まってしまう
半永久機関を
あてがわれて

放ってもおけず
ただじっと見守るだけの
木偶の坊は
あきもせず

詰られようが
嗤われようが
ひたすら
永い黄昏を生き続ける

背中に植え込まれた宿命を
済し崩しにするために




**********




「詩っ!」


どうして見えないのか!

早咲きの桜の下に
噴水の飛沫の先に

賑やかに降り積もっているのは
詩ではないのか?

どうして拾わないのか!

膨らみ続ける蕾の上で
ベンチで踊る光の端で

喧しいほど折り重なっているのは
詩ではないのか?

さっさと持って帰って
キーボードの上にそっと乗せよう

決して書いてはいけない
読むなんて以ての外だ

静かに
静かに
指先で詩を押し込んだら

ほら
液晶画面がすっかり春だ!




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刹那的発泡詩 < 14 > [ひまつぶ詩]


「レリーフマップ」


均して
まっ平らにするよりも
凸凹のまま
自分を保とう

喜怒哀楽の
起伏の上に
邪な雨雲を
呼ばない限り

太陽は健やかに昇り
安らかに沈むはずだから




**********




「道」


最初の丁字路を
「いいえ」に曲がって

次の十字路を
「普通」に直進して

次の五叉路を
「どちらかというと好き」に折れて

次の六又で
「165~170」を選んだ先の

ヘアピンカーブを曲がり損ねて
獣道を転がり落ちたら

そこは
見慣れた出発点だった





**********




「くしゃみ」


せせらぐ窓辺
はなやぐカーテン
まどろむ会話
ほころぶ眼差し

シャーベットカラーの光が
鼻をくすぐって
くしゃみが出る度に
季節がめくれ上がる




**********




「うそからでたまこと」


嘘+嘘=平凡
嘘×嘘=甘美
嘘ー嘘=退屈
嘘÷嘘=人生

実+実=陳腐
実×実=狂気
実-実=孤独
実÷実=人生

嘘+実=憂鬱
嘘×実=恋愛
嘘-実=野暮
嘘÷実=人生

嘘から飛び出て行った実は
こっそり嘘に帰ってくる




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