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刹那的発泡詩 < 13 > [ひまつぶ詩]


「うすっぺら」


モノとコトとヒトには
表面もあれば裏面も側面もある
それなのに思考回路は
A4サイズからはみださないように
二次元をのたくるだけだから

いつまで経っても
嫌いは好きにならず
苦手は得意にならず
無関心は無関心のままだ





**********





「老い」


階を上がるほど
螺旋階段はなだらかになる
くるくると同じ風景を
何度も巡りながら
やがて
その風景に取り込まれて
身動き出来なくなる

人事ではない
誰にもそんな日が来る





**********





「飛びます。飛びます。」


足を引っ張る奴がいる

懸命の羽ばたきを
嘲笑う奴がいる

陳腐なぬかるみに
引き戻そうとする奴がいる

そんな言葉じゃ飛べないと
分別顔で諭す奴がいる

いいから
踏み切らせてくれ

いいから
羽ばたかせてくれ

揚力も浮力も
持ち合わせていないのは
最初から分かっているよ

せめて
臭いぬかるみに
真っ逆さまに落ちてから

脳味噌が左に偏った
デカ頭を揺すりながら
思いっ切り笑えばいい





**********





「嘘っぱち」


猫を撫でながら
優しい詩は書かない
軍鶏鍋を食いながら
美味しい詩は書かない
返信を待ちながら
淋しい詩は書かない
マニュアルを眺めながら
愚かしい詩は書かない
鼻で唄いながら
楽しい詩は書かない
キーを叩きのめしながら
痛々しい詩は書かない
冷めたコーヒーを啜りながら
哀しい詩は書かない

書くのは
マネキンの体温だ

書くのは
造花の花束

書くのは
可憐なペテンだ

書くのは
リアルな嘘っぱちだ




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刹那的発泡詩 < 12 > [ひまつぶ詩]


「水」


水から生まれ
水に育まれ
水と戯れる

水に焦がれ
水に溺れ
水に流す

水を恐れ
水を恨み
水を疑う

水を想い
水を懐かしみ
水に従い

やがて

水に還る





**********





「ゴロゴロ」


土曜日のお昼ゴロ
テレビの前でゴロゴロ

珍しくないから
昆虫図鑑にも載せてもらえず
面白くないから
観察日記にも書いてもらえず

疲れやすいお年ゴロ
リモコン片手にゴロゴロ

意気地がないから
ジゴロにもゴロツキにもなれず
葉っぱが嫌いだから
いっぱしの害虫にもなれず

いもむしゴロゴロ

さなぎのように
柔らかな緊張感も保てず
蝶なのか蛾なのか
背中のロゴすら確かめられず

休日の口当たりの良い時間を
ジリジリと食い尽す
自堕落の心地良い傾斜を
ゴロゴロゴロゴロ
転がり続ける





**********





「ぶきっちょなてのひら」


てのひらは
ものを掬うには
向いていない

片っ端から掴んだものも
後生大事に握り締めたものも
指の隙間からするする零れ落ちて
情けないしわしわしか残らない

てのひらは
ものを掬うには
向いていない

それでも
救うことはできるかもしれないと
手を差し伸べたのだけれど
奈落の途中にぶら下がっている
君を救うには
指の長さがちょっとだけ足りなかった

やっぱり
ぶきっちょな
てのひら





**********





「傘は必ず携帯すべし」


自分が本当の夏なのか
確信がもてないまま
今年の夏は迷走する

稲妻のような癇癪を起したり
駄々っ子のようにいきなり号泣したり
暑苦しい溜息をついていたと思えば
こそこそと台風の陰に隠れたり

子供と異常気象の扱いに
まったく慣れていない
とてもデジタルな気象予報士は
玉虫色の今日のお天気と
場当たり的な週間予報を
繰り返すしかなかった

だから
たとえ君が濡れネズミになっても
決して誰かを恨んじゃいけない




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刹那的発泡詩 < 11 > [ひまつぶ詩]



「透明」


クリーンなエネルギー
煙も吐かない
音も出さない

透明なエネルギー
働く人も
動く機械も
蠢く魂胆も
何も見えない

危ない!

いきなり言われて
振り返っても
そこには
見慣れた風景があるだけ

何も見えない

ただ自分の中で
不安が降り積もっていく
音だけが

聞こえる





**********





「鏡」


胸の
薄暗がりの
階の途中にある鏡は
たいてい歪んでいて
体裁の良い自分と
都合の良い他人しか
映さない

もし
詩人と名乗りたいなら
そんなもの叩き割っちまいな

砕け散った鏡の破片に
粉々の世界が映るから
飛び散った世界の数だけ
物語が拾えるから

間違って破片を踏んづけて
どす黒い血を流しても
その血で叫びを
綴ることだってできる





**********





「坂」


のぼり坂をくだり
くだり坂をのぼる
そんな生活を
数十年続けた挙句
僕はのぼり坂とくだり坂の
区別がつかなくなった

父はきっちりと
のぼり坂をのぼりつめて
入道雲になった

坂の途中で
苦い汗を拭いながら僕は
今年も呆けたように
盛り上がる父を眺めていた





**********





「バグ」


絶え間なく
すり抜けていって
くれるはずの
時間の粒子が
水垢みたいに
記憶の網目に
こびりついて
離れない時がある
意識の水底から
そいつは時々
気泡となって
ちょうどカップ麺に
湯を注いでいる
ような時に突然
鼻先で弾けるような
場合もあるので
心身ともに
火傷することを
覚悟しておいたほうが
良いかもしれない



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刹那的発泡詩 < 10 > [ひまつぶ詩]


「汚染」


太平洋高気圧に
焼き焦がされて
すっかりウェルダンになった
肉塊からは
言葉の毒すらも
検出されないのに





**********





「節電」


エアコンの温度設定を
一度上げるだけで非国民

欲しがりません勝つまでは!

って、勝てるわけないでしょ
肝心のメンバーは熱中症で
没収試合寸前なんだから





**********





「風評被害」


何処に立っていても
不安定だから
ちょっとした風にも
揺らいでしまう

75日経てば
風は止むのだろうが
一番風上に置かれた人の
痛みは消えない





**********





「混沌」


このひょっこりひょうたん島の
行き先を気にする者は誰もいなかった
博士も金持ちも土建屋もペテン師も
みんな揃っているというのに

確かに王様は裸だ

でも裸だってことは
ちゃんと自覚しているんだから
誰かがパンツをはかせてやればよかろうに




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刹那的発泡詩 < 9 > [ひまつぶ詩]


「五月 A」


長袖のシャツを
まくり上げながら
眉を開いて
見上げる若葉

すり抜けた
幼い夏が
さらさらと
降り注ぐ五月





**********





「五月 B」


光と風の音楽隊の
ゆるやかな旋律が
コンクリートの迷路に
色の音符を落としていく


緑はさざめき
花はときめき
道はほくそえみ
人の睫毛はほほえむ





**********





「ガシャポン」


西瓜のカクテル
飲み干したら
肋骨を奏でながら
伝い落ちた夏が
ポロリと
ヘソの穴から
転がり落ちた

背中吹き抜けたのは
微発泡の風





**********





「薄荷」


カタカナのハッカは
忘れかけた想い出
漢字の薄荷は
忘れられない痛み

ときどき発火する過去の
やるせない焦げ痕が
スースーするけれど
大人のふりして苦笑い



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刹那的発泡詩 < 8 > [ひまつぶ詩]


「なぜ詩なのか」


面倒臭くて つい
手軽な言葉を投擲してしまった
口淋しくて つい
甘ったるい言葉を咀嚼してしまった

<優しさ>の優しくないアクや
<悲しさ>の悲しくないオリが
胸のT字路で行き詰まり
嫌なゲップが出てしょうがないから

僕はそれを
指から逃がそうとした
詩のような檻にそれを
閉じ込めようとした
ただそれだけのこと

もし付き合ってくれたらありがとう





**********





「いつ詩なのか」


上りつめている時は
脚韻どころか
気の利いたお世辞すら満足に言えない

下りはじめる瞬間は
恐怖のあまり
カビの生えた常套句にしがみついている

下りおえてしまえば
安堵しすぎて
暗喩よりも甘いものが食べたくなる

やんちゃな感情の起伏を
転がり落ちる
その速度だけが僕に詩を書かせる




**********




「どこが詩なのか」


生き方が
詩ではない
存在そのものが
詩であろうはずもない
凡人は

平坦で陳腐な日常から
今日も言葉の石を
掘り起こしては
それを丹念に磨く

その石が
詩の原石であることを
願いながら磨く

その石が
誰かの夜空で瞬くことを
祈りながら磨く

その石を並べただけで
挨拶にはなるし
店のメニューにはなるし
日記にはなるのだけど

それでも言葉使いの端くれは
言葉の石を
磨かずにはいられない

それはおそらく
磨くことが
磨こうとする意志が
詩のようなものであるからだろう




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刹那的発泡詩 < 7 > [ひまつぶ詩]


「キリンの夢」


まどろみの風下で
アミメキリンの夢を見た

縁側の木漏れ日
網目をかいくぐって
鯨偶蹄目キリン科の
枝先に腰掛けて

うたたねの岸辺で
アミメキリンの夢を見た

首を長くして待ち望んだ
未来は未だ来ず
霊長目ヒト科の
根っこは震える

キリンの首がどうして長いのか

そんなことばかり
考えているからヒトは
幸せをスクラップ&ビルドしてしまう
生き方をスキルアップしてしまう

正しく畏れながら
密やかに祈りながら
他愛なく生きていきたい

そう想いながらも
キリンのタテガミを掴み損ねて
日常に転がり落ちた僕は

夢のことなど
もうすべて忘れている




************




「此処」


ココア
なんて飲んでみた
温度が
少しだけ上がった
だからって
優しくなれたわけじゃないし
相変わらず
爆弾を作り続けているよ

ここは
実験場だから
殺風景が
床と壁なんだよ
誰にも
見せたくないわけじゃないから
時々
こっそりと自爆してやるんだ




**********




「無視」


それが
どれほどの
罪か
わかっていますか?

なんて
まっとうな事を
ほざく虫

発信しなければ
いないのと同じなんだよ
この世界ではね

誤解されても
弁解しても
理解できなくても
瓦解しちゃっても

オマエの周りには
確実に
冷たい微笑みの
壁が築かれていく




**********




「正義」


いつだって
声が大きいほうが勝つ

いつだって
見栄えが良いほうが勝つ

いったん
正義になってしまえば
我儘も可愛い

いったん
正義になってしまえば
情けなさも愛しい

言えなかったことを
脂肪に換えるしかなかった
可愛くも愛しくもない
オジサンは

負け犬の微笑を
ワンコの間に浸み込ませて
人畜無害なふりで
酒を飲む

せめて
知り合ったばかりの君の正義と
干乾びて埃をかぶった僕の正義が
よく似ているといいね




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刹那的発泡詩 < 6 > [ひまつぶ詩]


「再出発進行」


再び歩き始めるんだ
膝を抱えてうずくまった場所から
行き先なんて確かめなくていい
立ち止まった自分を責めなくていい

pauseを解除するんだ
内なる声が途切れた位置で
イントロなんて思い出せなくていい
いきなりサビから始まったっていい

やり直すことができないのなら
手垢にまみれた地図を破り捨てて
すんなり立ち上がればいい

出発するしかないのなら
少し重くなった荷物を背負い直して
きっぱり歩き始めればいい




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刹那的発泡詩 < 5 > [ひまつぶ詩]


「怒り」


心の海が逆流して
理性の川を遡ると
紳士面した堤防など
なんの役にも立たない

川は至る所で決壊し
川であることをかなぐり捨てて
見栄えの良い都市計画の上で
泥まみれの言葉の魚を泳がせる

さてさて
干上がった海の底で
膝を抱えて震えているのは
とってもちっちゃな
自分自身じゃないのかい?




**********




「哀しみ」


僕達は
一粒だ

哀しみを螺旋構造に宿したまま
この世に零れ落ちてしまった
一粒だ

小綺麗にラッピングしたり
小狡くシュガーコートしたり
小粋にフェイントをかけたりして
哀しみを繕う
一粒だ

これ見よがしに飾り立てたり
アルコールの波間で泳がせたり
液晶の上になすりつけたりして
哀しみを弄ぶ
一粒だ

僕達は
一粒だ

一粒の
哀しみだ




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刹那的発泡詩 < 4 > [ひまつぶ詩]


「明日の情」


優しく蛇行して
適度に濁って
こそばゆく岸を撫でながら
僕の根底を流れる
情の小川は

ときおり
なす術もない豪雨に
のたうち回って

ときおり
思いがけない土砂崩れに
堰き止められる

昨日の暴発を悔いても
今日は意地が邪魔をして
明日は
明日こそは謝ろうと
情の小川に言い聞かせる

そんなことの繰り返し



**********



「大河マスク」


情の小川を
毛細血管のように
丁寧に張り巡らした
僕の世間体は

人の顔色と
その場の空気を
即座に読み取るのは
得意なのだけど

背後からの指の奇襲と
無責任な噂のつむじ風
ゴリゴリの押しの圧力には
めっぽう弱い

どんな天変地異も
滔滔と受け流し
豊かに濁り続ける
大河のようなマスクが欲しい



**********



「虚人の星」


大河は猛り狂い
山岳は泣き崩れ
森林は行き倒れ
海洋は押し黙る

馬鹿正直に
生きることができない
器用貧乏な
人は何も知らない

人の息が
いかがわしい雲となって
人の欲の
生臭い雨を降らせる

降りやまない欲は
地面に浸み込んで
内側からじわじわと
地球を喰らっていく

やがて
地殻の皮と
地核の芯を残して
地球は
虚ろな果実になるのだろう

虚ろな果実の皮の上で
もぞもぞと蠢く
人も
もちろん虚ろだ




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